
WEB広告の活用でクラウドファンディング1億円達成!認定NPO法人抱樸
認定NPO法人抱樸(ほうぼく)では、2020年4月から8月にかけて、新型コロナ緊急支援クラウドファンディングを実施。
さまざまなプロモーション施策を行うなか、そのなかの一つに「WEB広告によるプロモーション施策」を実施しました。
そして見事、目標金額の1億円を達成!
初めてのクラウドファンディング、初めてのWEBプロモーション施策を終えて、率直な感想をお伺いしていきます。
目次[非表示]
認定NPO法人ほうぼくについて
理事長/代表:奥田知志
1988年から、福岡県北九州市を拠点に、生活困窮者(ホームレス)や社会からの孤立状態にある人々の支援を行う。
①全国の支援団体へ感染予防資材(マスク)を提供
②フェイス・トゥ・フェイスの相談事業を諦めないための機材購入
③大家さんも安心できる相談員の支援付き住宅の持続的提供(全国展開)
の3つのために、寄付金集めを行いました。
クラウドファンディングをきっかけにWEBプロモーションに挑戦
ーーーー今日はよろしくお願いします。まずはみなさんから簡単に自己紹介していただけますでしょうか。
谷瀬未紀さん(以下 谷瀬):
認定NPO法人ほうぼくで広報を担当しています。
ほうぼくにはボランティアとしては15年間かかわっており、ホームページやチラシの制作、ディレクションを担当しています。
※写真左下
江田初穂さん(以下 江田):
認定NPO法人ほうぼくで総務を担当しています、江田です。
総務の仕事のなかで、広報や渉外関係も携わっています。
今回のクラウドファンディングでもメインの担当となりまして、外部の方との打ち合わせなどに参加しました。
※写真右下
ーーーー今回のクラウドファンディングは、目標金額1億円という非常に難易度の高いチャレンジでしたね。挑戦する前、不安に感じていたことはありますか?
谷瀬:
もう不安しかなかったです……(笑)
実は、ほうぼくでクラウドファンディングに挑戦するのは、32年の活動のなかで初めてだったんです。
クラウドファンディングで、ほうぼくのことを知ってもらうのはもちろんですが、生活困窮者の支援という、わかりにくく、関心のある人も少ない活動ジャンル。
さらには「自己責任だ」とバッシングの対象ともなることもある活動です。
クラウドファンディングに限らず、常日頃から、活動内容の理解・活動への共感、の両方をしてもらうのは難しい、と思っています。
今回のクラウドファンディングでは、普段から感じているその壁をどのようにして乗り越えていくことができるか、を最重視していました。
江田:
ほうぼくには、応援してくれている寄付者の方がたくさんいらっしゃいます。
ただ、今回のクラウドファンディングでは、いままでの寄付者だけでなく、新しい寄付者をどうやって見つけていくか。
これまで関わりがなかった人たちに、どうしたらほうぼくを見つけてもらえるのだろうか、というのが当初の不安でした。
ほうぼくの活動を、どうやって伝えればいいのか、誰に伝えればいいのか、それどころか、活動に関心がある人がどこにいるのかさえわからなかったです。
ーーーーなるほど、クラウドファンディングに挑戦するにあたって、今までの寄付者とは違った新しい層を見つける必要があったんですね。
1億円達成のために、やれることはすべてやってみよう
ーーーーそんななか、今回WEBでのプロモーションをしてみよう、と思ったきっかけはなんですか?
江田:
クラウドファンディングの目標金額1億円を達成するために「やれることはすべてやろう!」という姿勢で取り組んでいました。
いろいろと相談にのってもらっていたファンドレックスさんから「WEB広告で新しい人たちにアプローチする方法があるよ」と、教えてもらったのが知ったきっかけです。
今回のクラウドファンディングでは、目標達成のために予算を確保できていたこともありますし「せっかくの機会だし、やれることは全てやろう!」とお尻に火が付いた感じですね。
ーーーーなるほど。今回のクラウドファンディングではいろいろな手法を試したと思うのですが、WEB広告以外にはどんなことをされたのですか?
谷瀬:
基本的にはSNSでの発信です。
メッセージ映像を作って団体の公式TwitterやFacebook、あと理事長奥田のアカウントでも発信してもらいました。
そのメッセージ映像は、広告配信でも使うことができましたね。
江田:
動画といえば、なんちゃってYouTuberにもなりました!
活動報告と応援者対談、と週に2番組も配信するという、大変な企画でした。
谷瀬:
YouTubeはライブ時だけでなくアーカイブ動画もクラウドファンディングが終わっても視聴数が伸びています。
内容も高く評価して頂けましたし、動画配信をすることで、ほうぼくへ対する信頼感を醸成できたのかな、と思います。
江田:
あとは、メディアへの露出は積極的にしていきました。
WEBメディアへ取材記事を載せてもらって。
とにかくほうぼくのことを知ってもらえるよう、あらゆる方法を試しましたね。
谷瀬:
オンライン以外でも、できることを試しました。
同時期にコロナウイルス対策用のマスクの寄付が集まったのですが、マスクを寄付してくださった方々にお礼のハガキを送りました。
そのお礼ハガキに、クラウドファンディングページへのQRコードをつけて。
既存の寄付者の方々にも、QRコードをつけたチラシを送ったりしましたね。
ーーーーWEBでのオンライン施策とこれまでのオフライン施策を掛け合わせた、良い施策ですね。
はじめてのWEBプロモーションで気付いたこと
ーーーークラウドファンディングを終えて、いま感じていることを率直に聞かせてください
江田:
ほっとしました……(笑)始める前はとにかく不安で。
1億円なんて集まるのだろうか、僕たちほうぼくのことを支援してくれる人がそんなにいるのだろうか、と考えていました。
谷瀬:
私は驚きと嬉しさがあります。
実施前に想定していたよりは「私たちほうぼくの活動は共感してもらえるんだ!」というのが自信になりましたね。
活動を知ってもらう「認知」、活動をいいなと思ってもらう「共感」、活動を応援してもらう「支援」、その3つのステップがあるとして、共感から支援までのステップって、少しハードルの高いものだと思うんです。
お金を渡すってそう簡単なことじゃないですもんね。
けれど、そのステップを乗り越えて支援してくれた方が1万人もいたことが、とても嬉しいです。
積極的に情報発信していく場所がわかった
ーーーーはじめてのクラウドファンディング、はじめてのWEBでのプロモーション施策で、やってみてから気付いたことはありますか?
江田:
これまで、自分たちのことを知らない人たちに伝える手段は
・チラシを配る
・理事長奥田の講演会に来てもらう
・HPやSNSなどのメディアを見つけてもらう
が主流でした。
団体側からアプローチする手法があまりなかったので、今回WEB広告配信という、新しい手段を見つけることができたのはよかったです。
そのWEB広告配信のなかでも、さらに発見がありました。
例えば、今回はGoogle、Twitter、Facebook、Youtubeとたくさんの媒体で、広告配信をしてもらいました。
複数試してもらって、その中でも寄付が得られやすい媒体を見つけることができたのは、1つの収穫ですね。
今後、自分たちはどの媒体で、積極的に情報発信していくべきなのか、がわかりました。
共感してくれている人たちの背中を後押しできた
谷瀬:
SNSってタイムラインが流れていくから、ほうぼくの投稿がパッと目に入っても、すぐ忘れられてしまうんですよね。
でもリターゲティング広告とかで「クラウドファンディング終了まであと何日!」といったかたちで、興味を持ってくれている人にもう一回アプローチできれば「あ、そうだったこんな団体あったなぁ」と思い出してもらえる。
活動を知る→共感する→支援するの3つのステップで表すと
「共感はしてくれているものの、支援というステップにあがりきれないでいる人たち」の背中を後押しすることができたと思います。
ーーーーなるほど、背中を後押しする手段として、WEB広告が有効だったということですね。
数字で結果を分析することができた
江田:
それと、一番参考になったのは、数値をもとに費用対効果がわかったことです。
何人の人たちにみてもらったのか、そのうち何人が興味をもってもらったのか。
いくらまでなら広告費をかけても赤字にならないのか、など結果を数字で判断できるのは、いままでにはなかった収穫ですね。
ーーーー数字をもとに比較できる、というのはデジタルのWEB広告だからこその強みだと思います。
ちなみに、WEB広告をする前は、何枚チラシを配って反応が何件あった、といった振り返りはしていたのでしょうか?
谷瀬:
いえ、ほとんど出来ていなかったです。
費用対効果を考えるというよりは、「とにかくたくさん配ろう!」と数をこなしていました。
江田:
チラシやDMを配っても、そのあと逐一振り返りを行うことはなかったです。
印刷や郵送をいくらまでならコストをかけても元が取れるのか、適切な費用がわからず……。
「チラシをくばるのに、50万円もコストをかけるのはもったいないよね。20万円までだったらいいかもね」と、なんとなくで施策を決めている場面が多かったです。
「もったいないからチラシはやめておこうか」→「でも何もしなかったら寄付集まらないよ」と、悪循環でしたね。
ーーーーたしかに今回WEBプロモーションを行ったことで、費用対効果が明らかになりました。今後オンラインオフライン問わず、戦略を決定するうえで参考になる数字が取れたと思います。
江田:
そうですね!
今回とれた結果は、今後のチラシやDMの施策をするにあたっても、いくらまでならコストをかけても赤字にならないのか、参考にできると思います。
支援者に情報を届ける
新しい支援者層との出会い
ーーーーWEB広告での配信を始める前にはまったく想定していなかったことはありますか?
江田:
これまでほうぼくのことを知らなかった人たちが寄付をしてくれたことです。
これまでの寄付者は、理事長奥田の講演会に参加したことがあるとか、(理事長が牧師のため)キリスト教関係者であるとか……など限定的な人でした。
若い人たちの支援はほとんどなかったんですが、SNS広告等の違うやり方に挑戦したことで、クラウドファンディングでは20,30代の支援者が多かったですね。
なかには10代の寄付者もいたんですよ!これはびっくりでした。
谷瀬:
「こんな人が寄付してくれるなんて!どうして!?」と驚く場面が何回もありましたね。
新しい施策に取り組んだから、新しい支援者の方々と出会うことができました。
きっと支援者のなかにも、コロナで収入が減ってしまった人もいると思います。
そのときSNSの投稿が目に留まって「わたしも本当に困ったらこんな団体に助けてもらいたいな」と、他人事ではなく自分事として捉えていただけたのだと思います。
ーーーー出会うことがなかった人たちに出会うことができた。これは他の団体さんの背中を後押ししてくれる一言ですね。
生活困窮者支援という活動だからこそ
谷瀬:
それに、新しい出会いはまだまだたくさんあります。
やっぱり、寄附支援というと、子ども支援・動物愛護・災害支援・国際協力に多く集まりますよね。
生活困窮者支援に関心を持つ方が、こんなにいるとは思わなかったですね。
ーーーーほうぼくさん以外の生活困窮者支援団体で、WEBマーケティングに力を入れている団体はほとんどありません。でも、支援をしたいと思っている人たちはいるんです。「生活困窮者支援がしたいけど支援先がみつからない!」という人たちにうまく情報を届けることができたのだと思います。
江田:
たしかに。「寄付」という検索をしても、出てくるWEB広告は、有名なNPOばかりですよね。
けれど「寄付 ホームレス」「寄付 困窮者」といったキーワードで検索をしている人に、ほうぼくのことを知ってもらえればいい、ということですね。
ーーーーそうですね。こども・災害・動物・海外支援という関心の集まりやすい活動ではなく、生活困窮者支援という比較的ニッチな活動内容だったからこそ、うまくいったというのもあると思います。
谷瀬:
関心のあつまる活動ジャンルじゃないから……と諦めてしまうのはもったいないですね。
ーーー誰でも聴いたことがある支援団体は、WEBマーケティングを本気で取り組んでいて、支援する手段をきちんと用意しているんです。
今回の学びをいかし、次のステージへ
ーーーーとはいえ、簡単に「広告配信しよう!」とも踏み切れないですよね。WEB広告配信をするのには、実は勇気も必要だったのではないでしょうか。
谷瀬:
仰る通りで、実は団体内部の説得も大変だったんです。
広告配信をしているイコールお金を持っている、とイメージされることがあるじゃないですか。
「広告宣伝費は贅沢ではないのか?」と議論することもありました。
江田:
あとは外部の方々も。
「寄付はすべてホームレスの方々の支援のために使ってほしい!広告宣伝費になるなんて!」と思う支援者の方もいるんですよね。
普段から講演会をするにしても、ゴージャスな会場にはしない、など気配りが必要です。
……まぁ、豪華な会場を借りるほどのお金なんて元々ないんですが(笑)
外からの見え方は、かなり気を付けますね。
ーーーーたしかに、そのような声はたまに聞きます。職員の給料ですら良く思わない方もいますから、広告宣伝費なんてなおさら難しいでしょうね。
谷瀬:
ただ今回WEBプロモーションをやってみて、得られたことは十分な説得材料になります。
「WEBプロモーションは新しい出会いを得られるんだ。誰か1人ではなく、みんなでつくる社会づくりに寄与しているんだ。」と。
広告は単なる営業手法ではないんです。
まだ出会ったことがない人たちに自分たちのことを知ってもらうための手段の一つ、ということを伝えたいですね。
江田:
それといま、クラウドファンディングの振り返りをしているところなんですが……今回数字をもとに結果をみれたことで、組織の体制から見直しをはかろうとしています。
どれくらい注力することで、結果があらわれるのか、がわかったことは大きな収穫ですね。
ーーーー広告を広報手段として活用するだけではなく、体制の見直しなど戦略の判断にも活用できたんですね。
江田:
はい。一度ワンチームさんというWEBプロモーションの専門家に入っていただくことで、これまで自分たちが持っていなかった新しい視点を得ることができました。
ーーーー振り返ると、子ども・動物・災害・国際協力以外はうまくいかないだろう、と考えている団体がほとんどだと思います。
そんななか、ほうぼくさんはホームレス支援・困窮者支援という活動内容で、1億円達成という大成功されました。
この経験は、他の非営利法人の方も「もっと挑戦していこう!」と思える良い事例だったと思います。
今回は貴重なお話、ありがとうございました!
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